【国内事例】 緻密な媒体分析による作り込みで、訴求から理解へとコミュニケーションを発展

広告事例, 09/05/20

エスティ ローダー
MSN×日経WOMAN クロスメディア企画

クロスメディアキャンペーンは、
情緒的と論理的訴求を同時に実現する手法

エスティ ローダー
エスティ ローダー事業部
マーケティング本部
広告媒体/Webコーディネーター
菅野裕子氏

 化粧品や香水、スキンケア用品などの世界的ブランドであるエスティ ローダーの広告展開はこれまで、20代後半から30代に向けた雑誌媒体が中心であった。

 しかし「定期的な情報発信でイメージ訴求はできますが、製品を深く理解してもらえたという手応えをなかなか感じることができなかった。この課題を克服できる企画にチャレンジできないか、常に考えてきました」(同社 エスティ ローダー事業部 マーケティング本部 広告媒体/Webコーディネーター・菅野裕子氏)と言うように、新規顧客獲得のためには、新しいメディアの活用も必要と、常にその方法を模索してきた。

 過去には雑誌とインターネットのクロスメディア展開に挑戦したこともあったが、美容関連雑誌とそのオンライン版といった形式が多かった。しかし今回、「MSNビューティスタイル」と『日経WOMAN』という全く別の媒体によるクロスメディア展開の実施を決定。新規顧客獲得と製品へのより深い訴求という目的に対して、「お互いの良いところをカバーし合って、プラスαを出せると思いました」と菅野氏は話す。

媒体選択の鍵は3つ
ターゲットと表現方法、“新しい何か”を期待させること

 『日経WOMAN』掲載記事(写真中)とMSNビューティスタイルでの掲載(写真下)。キャンペーンのコンセプトは「肌の悩みを抱えるキャリアOLに対して、エスティ ローダーが提唱するビューティフル スキン ソリューションズのメソッドをWEB媒体、紙媒体それぞれの特性を活かして伝える」となっていた。

 今回のキャンペーンのコンセプトは、「肌の悩みを抱えるキャリアOLに対して、エスティ ローダーが提唱するビューティフル スキン ソリューションズのメソッドをWEB媒体、紙媒体それぞれの特性を活かして伝える」というもの。イメージ訴求が中心となるメイク製品に対して、スキンケア製品は広告の内容をしっかり読み込んでもらい、理解を促すプロセスがコミュニケーション上欠かせない。そのため、媒体選択においては、ターゲット属性が合致していることに加えて、読み込んでもらえる表現ができる媒体を探したという。そこから選ばれたのが、「MSNビューティスタイル」と『日経WOMAN』だが、クロスメディア企画の場合はさらなる選考ポイントがあるという。「クロスメディアの企画を考える時には、常に何か新しいことをしようと考えています。新しいことをしなければ、新しいユーザーは獲得できませんから」。今回の企画での新しいチャレンジは、キャンペーン実施前に商品・ブランドについてのアンケートを実施したこと。アンケートデータを切り口に、それぞれの媒体およびユーザーに合わせたコンテンツを作った。

 具体的な表現として『日経WOMAN』では、同社のこれまでの広告展開では前例がないほどに美容液商品を大きく出し、データ面をきちんと伝えるように心掛けた。それに対する雑誌なりのコメントを書いてもらうことで、能動的な読者にしっかりと訴求ポイントを伝えたのである。MSNでは、美容ジャーナリストなどのインタビューを入れたり、製品サンプリング企画も実施してブログに書いてもらうなど、体験した人のコメントを分かりやすく表現することにこだわった。「最終的なゴールは、店舗のカウンターに行ってもらうこと。そのための施策がきちんとでき、ユーザーの皆さんとのコミュニケーションも完結できたのではないかと思っています」。

ブロガーの説得力ある書き込みは、
情報発信が的確であったことの裏返し

 スキンケア製品は、ユーザーに興味関心を持ってもらい、じっくりきちんと記事を読み込ませるのが難しい。メーカー側の一方的な情報発信ではなく、体験者・利用者の生のコメントが大きな意味を持つ。その点、今回のキャンペーンに関係したブログの書き込みには、「実際に製品を試し、自分の言葉で書いてあり、説得力を持つものが多かった」と菅野氏も評価している。さらに、「これは美容情報について読み込む傾向が強いターゲット読者に対して、説得力のある記事を提示できたことの裏返しといえるのではないか」と見ている。

 MSNによるリサーチ結果でも、その傾向が数字になって表れている。今回のキャンペーンに関連するメディア接触者の購入意思を比較すると、非接触者の3.4倍にも上っている。また、エスティ ローダーといえば「美容液のパイオニア」といった、具体的なイメージを持つ傾向も出ており、「スキンケアの選択肢として認識してもらえるようになったと思います」と菅野氏が語るように、購買行動につながる効果が確実に表れている。ターゲットに合わせた媒体選択、タイアップならではの価値創出、そして、メッセージを明確に伝える作り込み。これらの明確な意図がうまくかみ合い、クロスメディア展開の好事例となったと言えるだろう。

2009年5月号ニュースレター
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