【国内事例インタビュー】商品への深い理解を促すトヨタ「プリウス」の新たな試み

広告事例, 08/08/25

説明が難しい商品機能をいかにして幅広い層に伝えるか

松林雅人氏

トヨタ自動車
宣伝部第1キャンペーン
企画室
第1グループ・松林雅人氏

 「トヨタ・プリウス」は、京都議定書が採択された1997年、まさに環境問題への関心が高まる中で発売された、世界初の量産型ハイブリッドカー。新時代の車として、世界中から注目を集め、モデルチェンジを重ねながら、現在40以上の国・地域で販売されている。

  発売から10年以上が経ち、マスメディアを活用した広告展開により高い認知を得てはいたが、「商品自体の斬新さゆえ、『未来の車』『技術の優れた車』というイメージが先行して浸透しており、従来の車とは違う、特別な車であると思われていた」という課題があったと、トヨタ自動車 宣伝部第1キャンペーン企画室第1グループ・松林雅人氏は話す。

  そこで認知獲得の次の目標として、商品の機能に対する深い理解を掲げ、コミュニケーション展開を検討。時間や表現・訴求方法に限度のあるマス広告ではなく、ハイブリッドカーの仕組みや運転の仕方など、細かな仕様まで説明できる、WEBの活用を決めた。しかし自社サイトでの展開では、そもそもプリウスや車に関心のある人にしか届かない。潜在顧客をとらえるため、あえてポータルサイトMSN内で展開し、「トヨタ」というブランドや、車に興味のない層も誘致しようと試みた。

自社サイトとも連動し販売店への来店促進も図る

お笑いコンビのスピードワゴンが、旅番組の形式でプリウスについて紹介。コントも披露するなど、プリウスに興味がなくても楽しめるコンテンツだ。

2008年1月29日~3月9日までの期間限定で開設された「プリウスチャンネル」は、お笑いコンビのスピードワゴンが、出身地の愛知県・渥美半島をプリウスに乗って旅をしながら、約20分にわたって同車の機能解説を行うというもの。一通り視聴すれば、プリウスに関する知識が自然と理解できる内容となっている。「ハイブリッドカーには、運転の仕方によって燃費が変わってくるなど、面白い面もあります。15秒のテレビCMの中で運転の仕方まで語ることは不可能ですが、動画を使えばそれらを伝えることができると考えました」と松林氏は話す。旅番組の形式を取り、この本篇以外にもエコドライブから生まれたコントを披露するなど、プリウスに興味がなくても楽しめるコンテンツだ。

視聴の途中で、ユーザーは感想を投稿することができた。

 さらに、ユーザーは動画を視聴しながら、感想などのコメントを投稿することが可能。コメントはすぐに動画の画面上に表示され、双方向のコミュニケーションを促し、より興味・関心を高めることを目指した。このサイトには、インスタントメッセージプログラムの「Windows Live Messenger」が装備されており、ユーザーは友人とチャットをすることもできた。展開実施にあたっては、「ネガティブなコメントばかりが集まって、荒らされるのではないか」「ブランドイメージに反する仕上がりにならないか」といった懸念の声も社内にはあったという。しかしスタートしてみると、好意的な意見が寄せられ、このような形の広告展開を支持する声も多かった。いい意味で「トヨタらしくない」プロモーションができたという、手応えを感じているという。

 自社サイトとも連動し、取扱販売店の検索や試乗予約も可能。このサイトにより、プリウスについてより深い理解を得ると同時に、動画視聴によるプリウスでのドライブの疑似体験から試乗意欲を喚起し、最終的には販売店への来店促進を狙った。

角田紀子氏

トヨタ自動車
宣伝部コミュニケーション
統括室メディアプランニンググループ・角田紀子氏

 視聴者からの反応も好評で、期間中のページビュー数は62万、寄せられたコメントは1万4000という結果を得た。同社 宣伝部コミュニケーション統括室メディアプランニンググループの角田紀子氏はこの展開について、「これまでもWEBを活用したさまざまな展開をしてきましたが、今回の企画で得た収穫は大きかった。WEBはいろいろな使い方ができますが、それをいかに活用しきるかという難しさもあります。今後はさらにターゲットを明確にして、目的に応じた展開を実施していきたい」と話している。

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