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09/06/24
ハニカム 編集長・鈴木哲也氏
2009.06
自分らしさを持つメディアが、
ブランドをより強く引き付ける
鈴木哲也氏
ハニカムは、藤原ヒロシ、メンズ・ファッションブランド「SOPH.co.,ltd.(ソフ)」のディレクターの清永浩文、ファッションブランド「visvim」のディレクターである中村ヒロキの3人が、「インターネット上でビジネスも含めた、面白いことができないか」とスタートしたものです。私は、雑誌編集者として3人と付き合いがあったので、自然にこのプロジェクトに参加をすることになりました。
ハニカムのコンセプトは、「『僕らが考える』スタイリッシュなライフスタイル」であり、読者ターゲットもそれらを共有する人、と想定しています。当初は一般受けを狙い、マス向けのトレンド情報も載せるべき・・・との考えもあったのですが、オリジナルな情報で明確なアイデンティティーを強調する方向にしました。情報があふれるネットでは、自分たちの「フレーム」を作ってしまう方が、読者や広告主にもハニカムの存在感をより強く印象付けられると思ったからです。
たとえば「ルイ・ヴィトン」で検索すると、情報こそたくさん出ますが、オフィシャルなものやルイ・ヴィトンが望むブランドイメージを映す情報は少ないはずです。フレームやアイデンティティーのあるところに意識して情報を載せないと、ブランドイメージのコントロールは難しくなるはずです。
ラグジュアリーブランドは、認知度の高さが強みである一方、消費者が抱くイメージをコントロールしきれない難しさがあります。その点、ハニカムは、イメージ構築の足場となる「フレーム」があるわけです。現在では、ラグジュアリーブランドに限らず、色々な業種のブランドからアプローチがあります。「自分たちのテイストをキープしながら、信頼関係を結べるメディア」と認識していただいているのでしょう。
ラグジュアリーブランドのイメージを
ユーザーに翻訳する場所
ハニカムはあらゆる物事に対し「ハニカムの視点」でアプローチします。ラグジュアリーブランドを扱う際にも心掛けるのは、「ブランド側の伝えたいイメージをいかに自分たちの言葉に翻訳するか」。大量の情報が行き来するネット上では、ラグジュアリーブランド自身が持つイメージをユーザーに向けてきちんと翻訳し、表現されているような場所が必要です。ブランド側の理想のイメージを追求・直訳するだけでは、面白みに欠け、ユーザーの心に届きにくくなります。
タイアップ企画はハニカムによるディレクションのもと、クライアントからのリクエストや条件を取り入れ制作します。どのようなコンテンツも面白さを追求するようにしていますが、それは広告においても同じです。タイアップ広告でも、意外性のあるキャスティングをしたり、辛口の批評を入れたりすることもあります。クライアントがどのようなイメージでユーザーに捉えられたいかを尊重しつつも、「面白いコンテンツ」として作るようにしています。
ラグジュアリーブランドを扱った最近の事例としては、ルイ・ヴィトンと村上隆さんのコラボレーションを取材した記事があります。これはハニカムが自ら企画・取材したものですが、ハニカムとブランドとの信頼関係から、独自の視点と切り口を持った企画が実現し、ルイ・ヴィトンの持つエッジィな世界感を表現できたと思います。つまり、ハニカムのコンセプトとメディア価値によって肉付けされた情報は、他のメディアから発信される情報とは違うニュアンスでユーザーに受け取ってもらえると思うのです。
「ラグジュアリーブランド」といえども
多様な価値観のひとつとして存在する
基本的にブランドのプレゼンスとは、ステータスやイメージを含めたさまざまな付加価値の総和で決まるのではないでしょうか。その点、ラグジュアリーブランドには歴史があり、その歴史が築いてきた信頼やイメージによる価値が付加され、その価値が、購入者にステータスを約束してくれる。ユーザーは、そのブランドのステータスも含めて、そのブランドの商品を「買う」のです。そのことに皆気付いています。ですから、ブランドが持つステータスを間接的にほのめかすより、その点も正直に伝えていく方がスマートなコミュニケーションです。
個人的には、何がブランドをシンボリックな存在とするのか、そして、それがどのようなメカニズムを通して成立するのかといった、「ブランドとは何か?」が理解できるようなコンテンツを作りたいですね。所有物に自分のアイデンティティーを投影したい心理や、その場合に社会的ステータスやシンボリックなイメージを含むものを選ぶという心理は、やはり自然なものです。それを否定するのはナンセンスだと思う。とはいえ、ラグジュアリーブランドといっても、絶対的な価値を持つわけではない。ステータスという部分も含め、世にあふれるさまざまな価値観のひとつ、相対的な選択肢のひとつとして存在していると私は考えています。だからこそ、面白いし美しいと思うのです。
「ラグジュアリーブランド=リッチ=幸福」、といった単純な方程式によるイメージでは、もうユーザーは納得しません。ラグジュアリーブランドのシンボリックな存在感を自分なりにアレンジしたり、カスタムするような感覚が多くのユーザーに芽生えているのです。
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