【業界インタビュー vol.7】 注目が高まるリッチメディア広告活用 サイト誘導からブランディングツールへ

09/04/20

eyeblaster ビジネスデベロップメント日本担当・布施一樹氏

2009.04

もはやクリックのみが
バナー広告の指標ではない

布施一樹氏 

eyeblaster ビジネスデベロップメント
日本担当・布施一樹氏

 カンヌをはじめとする国際広告祭で賞を獲得するなど、最近は日本のWEBクリエイティブも優秀なものが増えています。これは、リッチメディア広告に対する日本の広告主のニーズが徐々に高まってきていることの現れです。とはいえ、日本のWEBクリエイティブ全体として見た場合には、残念ながらリッチメディアの活用度合いやクリエイティブの質といった面で、まだ欧米に遅れをとっているのが現状だと思います。

 その顕著な例が、広告配信の容量枠を目一杯使いきれていないこと。もっと豊かな表現ができるはずなのに、知ってか知らずか、容量を有効利用していないのはもったいないと言わざるを得ません。これは逆に言えば、日本におけるリッチメディア活用、およびWEBクリエイティブの質がまだまだ発展途上で、大きな可能性があることを意味しており、我々としては今後の成長に大きな期待を抱いています。

 日本では主に、会員登録や資料請求などの申し込み、商品購入など顧客獲得ツールとしてインターネット広告が使われてきた歴史から、現在も効果指標としてCTR(Click Through Rate)が重要視されています。しかし欧米では、バナー広告から直接クリックしてきた訪問数よりも、広告に接触したけれどその場ではクリックせず、後でその企業サイトを訪問するケースの方が多いとの調査結果もあり、早くからポストインプレッション効果に着目し、効果指標として取り入れています。

 特に、おびただしい量の広告が氾濫している昨今、eyeblasterワールドワイドの調査でもバナー広告へのCTRは世界的に下がり続けるなど、ユーザーはよほど興味・関心を引かれた広告でなければクリックしなくなってきています。こうしたユーザーの接触態度の変化に伴ってリッチメディア広告も進化し、ニーズも一層高まってきています。

進化したリッチメディア広告

 掲載位置とスペースが決まっている通常の純広告バナーに対し、リッチメディア広告は容量も格段に大きく、枠自体をエクスパンドすることも可能など、大きなキャンバスの中で伝えたいことを豊かに表現できるというメリットがあります。それゆえ、優れたクリエイティブのリッチメディア広告であれば、その企業のサイトやキャンペーンページに誘導せずとも、そのリッチメディア広告の中でブランドを体験させ、エンゲージメントを高めることも可能。極論すれば、リッチメディア広告の中だけで認知向上からブランディング、ユーザーエンゲージメントまで完結することもできるのです。

新指標導入に積極的なグローバル企業
広告予算をテレビからWEBへ移す動きも

布施一樹氏

 このように、CTRだけではインターネット広告の効果が的確につかめなくなりつつある中、我々はバナーをエクスパンドしたり、動画を視聴したりといったリッチメディア広告の中に盛り込まれたインタラクティブコンテンツとユーザーの接触回数、接触時間などを「インタラクションレート」として指標化。レポートとしてクライアントに提出しています。このCTR以外の新指標を、日本ではグローバル企業を中心として取り入れ始めています。

 また、メディアの多様化でテレビCMのパワーが以前ほどではなくなったこと、また世界的不況によって企業のマーケティングROIに対する意識が高まっていることも手伝って、テレビに投下していた広告予算の一部をWEBに振り向ける動きも見られます。今が大きなビジネスチャンスですね(笑)

クリエイティブでさらに面白くなる
ブランディングやエンゲージメントもさらに可能に

 リッチメディア広告が進んでいる海外では最近、コンテンツとシームレスに展開していくクリエイティブが多く、実際ユーザーからも好評を博しています。たとえば、アメリカで展開されたコンシューマー向けアクションアドベンチャーゲーム「トゥームレイダー:アンダーワールド」のキャンペーンでは(http://creativezone.eyeblaster.com/?ItemName=Atlantis%20-%20demo#ItemName=Tomb%20Raider%20HD%20Video)、“pull down the ring”というエレメントをクリックすると、画面右端にいた女性主人公が絶壁をよじ登るために掛けたロープを引っ張り壁面が落下。同時に文字や画像などのページ・コンテンツも崩れ落ちてスクリーンが登場、ムービーがスタートするというクリエイティブで、コンテンツとの一体化によりユーザーが自然にそのブランドの世界観に入り込めるよう作られています。

 このように、媒体のコンテンツとどれだけシームレスに融合したクリエイティブを展開できるかも、現在WEBクリエイターに求められているスキルのひとつといえるでしょう。コスト面の課題はありますが、リッチメディア広告はまだまだ大きなポテンシャルを秘めており、もう少しWEBのクリエイティブに予算を割いていろいろチャレンジしていくという土壌ができてくれば、日本のWEBクリエイティブは飛躍的に進歩するものと確信しています。

今後も、広告主様側もクリエイター側にも最新のリッチメディア広告情報やいろいろな新しい試みやクリエイティブを啓蒙し、日本のリッチメディア広告を盛り上げるお手伝いをしたいと思っています。

*その他、ユニークな海外事例は下記サイトよりご覧いただけます。
http://creativezone.eyeblaster.com/

 

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